境界性パーソナリティ障害の患者さんのご家族・周囲の方へ 境界性パーソナリティ障害の患者さんのご家族・周囲の方へ
解説:市ヶ谷ひもろぎクリニック
精神科牛島定信先生

境界性パーソナリティ障害(BPD)を疑って受診するときは、家族と一緒の方が良いでしょうか?

患者さんお一人で受診されることもありますが、患者さんに両親が付き添って来院されることも多いです。 BPD患者さんは、極めて悪化した母子関係に陥っていることが多いので親子のバランスをとる一方で、 患者さん自身が人間的に成長したいのだという自覚を持たせるだけではなく、親にもそのことを自覚してもらう必要があるのです。 親が変わればそれが子に影響するのです。また、段階が進めば、周囲の人たち、職場、学校関係の参加も歓迎します。

家族や周囲の人が患者さんにできることは何でしょうか?反対に、してはいけないことはありますか?

イラスト イラスト 患者さんを指導し、説教するという態度は有害無益です。指導的態度は依存的態度を増長し、結局は本人を行き詰まらせてしまいます。 リストカットや過量服薬、感情の暴発などの問題行動に走った場合、周囲の者は禁止、説教をしがちですが、 ある出来事をめぐって破綻したのだという考え、その時どんな気持ちなのか、悔しいか、ダメだと落ち込んでいるのか、 自分を責めているのかを聞き、その気持ちに共感することが大事です。しかし、受け入れがたい要求、 明らかに困った結果をもたらす要求(乱費のための金銭、過量服薬のためのクスリの要求)はもちろんのこと、 依存心を強める要求などにはきちんと断る勇気も必要です。極めて悪化した母子関係の中で状況が緊迫してくると患者ペースになり、 折角の成長を壊してしまうことは起きやすいのです。そして、最も大切なのは「ほめる」ことです。 「ごめん」といえば、すかさず取り上げ、ほめることを心がけて欲しいと思います。「べき、べからず」の態度は好ましいものではありません。 むしろ患者さんはそれが強すぎると考えてよいのです。つまり、患者さんを変えていくのではなく、「気付いて変わっていく」 態度を根気よく待つことが大事です。「あと何年で治さなければならない」などという気持ちを持たせないことも重要です。

情報収集の際に気を付けることがあれば教えてください

SNSやインターネットが疾患を知るきっかけになるのはよいと思うのですが、誤った情報もありますし、歪めて受け取っていることが多いようです。 ですから、SNSやインターネットの情報をめぐっては専門医とご相談されることをおすすめします。

市ヶ谷ひもろぎクリニック名誉院長
牛島定信先生

九州大学医学部卒業、同大精神科医局、その後、福岡大学医学部教授、東京慈恵会医科大学教授、 東京女子大学教授、三田精神療法研究所所長、ほづみクリニック院長を経て、2019年より市ヶ谷ひもろぎクリニック名誉院長。

〈資格・所属学会〉 医学博士、日本精神分析学会(元理事長)、日本森田療法学会(元理事長)、日本サイコセラピー学会(元理事長)、 日本児童青年精神医学会(元理事長)、日本ADHD学会(元理事長) 〈著書〉 『思春期の対象関係論』、『境界例の臨床』、『対象関係論的精神療法』、『人格の病理と精神療法―精神分析、森田療法そして精神医学』、 『境界性パーソナリティ障害―日本版治療ガイドライン』(いずれも金剛出版)、『心の健康を求めて-現代家族の病理』(慶応義塾大学出版会)、 『図解やさしくわかるパーソナリティ障害』(ナツメ社)、『パーソナリティ障害とは何か』(講談社現代新書)など。

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